財産目録とは、亡くなった方(被相続人)に、どのような相続財産があるのか明確にするために作成するものです。
被相続人が、自分自身の財産を生前に書面にしてまとめてあれば、問題はないのですが、通常はそういったことは、ほとんどありませんから、相続人や専門家が相続財産の調査を行い、それをもとに財産目録を作成するのが一般的です。
一般の方が難しいのは、この財産調査の仕方です。
よくあるのは、兄弟や前妻と後妻の間などで、財産を互いに明確にしない場合などが財産調査を難しくしてしまうケースです。もちろん、完璧には難しい所もありますが、こうした場合でも相続手続きのプロであれば、ある程度の財産調査ができますので、遺産分割に必要な相続財産の全体像を導き出すことも可能です。
とにもかくにも、相続財産にどんなものがあるのか、どれくらいあるのか、明確に把握しなければそもそも相続人間で遺産分割協議をすることができません。
つまり、財産目録をきちんと作らなければ次のような不具合が出てしまいます。
プラスの財産と、マイナスの財産との比較ができないので相続放棄など、どのように相談したら良いのか、相続方法の決定に関する判断ができません。
財産の全体像が分からないので、遺産分割ができません。
遺産分割ができないために、正式に預貯金の引き出しや解約を進めることができません。
不動産の名義変更は、法務局が受け付けてくれませんので、絶対に名義変更ができません。
相続税が発生するかどうかも、財産の総額が明確になっていないので分からないため、10ヶ月以内に相続税の申告をすることもできません。つまり、これは相続税の控除が使えないので、多額の税金を払わなくてはいけない事態も招いてしまいます。
この様に、財産目録をしっかりと作らないと不利益ばかりで全く良いことはありません。非常に煩雑な作業ではありますが、なるべく早い段階で財産目録を作成されることをお勧めします。